コラム
白樺(シラカンバ)とは?特徴・種類・分布などの基礎知識
白樺とは
白樺とは

白い樹皮が印象的な「白樺」とはどのような樹木なのかご存知でしょうか。

名前はよく耳にするものの、正式名称や詳しい生態をご存じないという方も多いことでしょう。

こちらの記事では、特徴や生息分布地など、白樺に関する情報を幅広くお伝えします。

白樺(しらかば)とは?

白い樹皮が印象的な白樺

白樺」とはカバノキ科カバノキ属の樹木のことで、正式名称は「シラカンバ」。樹高は20mほどになり、樹皮が白く光沢があること、春になると鮮やかな新緑の葉を茂らせることが特徴です。

見た目の美しさから庭・公園・街路樹として用いられることが多いですが、香りが良く栄養豊富であることから、化粧品成分や香料としても活用されます。

白樺の通称と由来

白樺にはさまざまな通称があります。とても生命力が強いことから白樺自体には「マザーツリー」、天然のミネラルやアミノ酸を豊富に含むことから樹液には「森の看護師」という通称が生まれました。

また、白い樹皮が高原を明るいイメージにすることから「高原の白い貴公子」と呼ばれることも。

白樺は見た目の美しさと成分の有用性から、さまざまな通称を与えられ、古くから多くの人々に愛されてきました。

白い樹皮が印象的な白樺。自然界ではどのような特徴を持っているのか、白樺の生態や形態についてご紹介します。

白樺の生態・形態

寒冷地に繁殖する白樺

白樺は高さ20~25m、太さ30~40cmにまで成長する大型の落葉樹で、寿命は約100年。樹皮は白のイメージが強いですが、若木の頃は褐色です。

5月頃に開花し、細かなギザギザのついた三角形の鮮やかな葉を茂らせ、秋になると黄色く紅葉し葉を落とします。

9~10月頃には、3~4cmほどになる淡い褐色の細長い種子をつけることも特徴。冬になると葉はすべて落ちてしまいますが、先の尖った楕円形の芽をつけ、次の開花に向けての準備を始めます。

生命力の強さから、山火事などで森林が失われたときに、最初に生えてくる「先駆樹種」としても有名。寿命は短いものの成長が早く、いち早く美しい景観の森林をつくりだす役割を担っています。

白樺の種類

白樺が属するカバノキ属の樹木には、分類の仕方によっては60もの種類があるとされています。

さらに、白樺を園芸品種として改良した「ジャクモンティー」という種類もあり、若木の頃から樹皮が白く、天然の白樺よりも白さが強いことが特徴です。

白樺とは違い、暖かい地域でも育つように改良されているので、お近くの公園や庭などで見かけられているかもしれません。

白樺の活用方法

白樺は庭や公園の樹木としても人気ですが、その他の用途にもさまざまに活用されています。

木材は柔らかく用途が限られるものの、建築や家具、民芸品、パルプ材、割りばしなどに加工され、雨の中でも燃える性質をもつことから薪として使われることも。薄くはがれた樹皮は曲物や屋根葺きに使用され、利用価値の高い樹木です。

白樺が多く自生する北海道では、アイヌ民族によって樹液が薬として飲用されていたり、樹皮を鍋にして煮炊きをしたりしていた歴史もあります。

樹木はほんのり甘い味がするので、白樺製の鍋で作った料理は樹木の味がしみてとてもおいしいそうです。

白樺は花粉症の原因にも

白樺の種子には大きな翼があり、花粉を風に乗せて遠くまで飛ばすことから、花粉症の原因にもなる樹木です。

口腔アレルギー症候群と関連しており、果物アレルギーの方が白樺の花粉に接触すると、5~6月頃まで鼻水や目のかゆみなどの症状を訴えることも。

豊富な栄養素を含む魅力的な白樺ですが、果物アレルギーをお持ちの方は、りんごやもも、さくらんぼなどの果物を食べた後は避けるようにしましょう。

白樺の分布と代表的な生息地

白樺の分布と代表的な生産地

寒い地域に自生しているイメージが強い白樺ですが、主な生息地域はどこなのでしょうか?海外の代表的な生息地と、日本国内での分布地域をご紹介します。

海外の代表的な白樺分布と生息地域

海外における白樺の生息地域は、北欧・シベリア・カナダなどのツンドラ地帯と、アジア東北部や朝鮮半島、カムチャッカ半島などです。

カバノキ属の分布はさらに広がり、アフガニスタンやカザフスタン、モンゴル、ネパール、ヨーロッパにも広がっています。

白樺が生育しやすいのは、気温が低く少し湿り気のある土地。北欧産の樹木というイメージがありますが、世界的に見ると、意外にも中国や朝鮮半島の北東部に多く分布しています。

日本国内の代表的な白樺分布と生息地域

日本では主に北海道全域で、特に十勝地方で多く見られます。本州でも中部以北の海抜の高い地域に分布していて、白樺の分布を研究した結果によると、関ヶ原より北東の地域であれば育つことができる樹木です。

本州での分布は愛知県・静岡県・福井県・岐阜県が限界になるとされており、西日本には分布していません。

冷寒地でも白樺が育たない地域も

白樺が育つ環境についてはまだ謎が多く、冷寒地であれば育つというわけではないようです。気温の低い東北地方では、青森県・岩手県・秋田県東部にかけて分布しているものの、宮城県では一切見られず、その理由は明らかになっていません。

山形県や秋田県西部、北陸地方でも自生数が少ないことから、気温の低い地域でも、日本海側では育ちにくいのではないかとも考えられています。

本州の主な分布地は信州

日本国内で北海道とともに白樺の生育地として有名なのは、長野県の信州です。特に八千穂高原には200ヘクタールもの面積に50万本もの白樺が植えられていて、白樺林の美しさを堪能できる場所として知られています。

白樺群生地が少ない本州において、自然の中で育つ白樺が見られる貴重な土地だと言えるでしょう。

白樺とは美しく利用価値の高い樹木

白樺は真っ白な樹皮が美しく、木材・樹皮・樹液などは古くからさまざまな用途で活用され続ける利用価値の高い樹木です。

ツンドラ地帯に自生すると思いがちですが、世界的には中国・朝鮮半島などに多く見られ、日本の本州でも育つなど意外な事実も見つかったと思います。

「マザーツリー」「森の看護師」などの通称を与えられ、豊富な栄養を含むことから、最近では化粧品成分としても活用されている白樺。

詳しい情報を知ることで、より身近な存在だと感じられたのではないでしょうか。

この記事の監修は
宮田善之
(みやた よしゆき)
慶應義塾大学医学部感染症学教室共同研究員
慶應義塾大学宇宙法研究センター

 昭和60年~平成4年:ポーラ化成工業株式会社にて、放射線増感剤、薬剤耐性解除剤についての創薬研究
平成2年:感染症学の研究(トリパノソーマ、薬剤耐性マラリア)を慶應義塾大学医学部寄生虫学教室と共同で開始
平成3年:ボリビアへ シャーガス病の治療薬の臨床研究の足場作りに
平成4年:薬剤耐性マラリアの研究の耐性解除薬の創薬研究を開始
平成5年:慶應義塾大学医学部熱帯医学寄生虫学教室(後に、感染症学教室に改組)共同研究員に北里大学薬学部薬化学教室(後に、生命薬化学教室に改組)講座研究員に
平成25年:北里大学薬学部にて学位取得 

<研究分野>病原原虫〜薬剤耐性感染マラリア、トリパノソース、トリコモナス、抗がん剤、偽造薬物